水木しげる 劇画ヒットラー感想とレビュー【画家志望はダテじゃなかった!】

水木しげる先生の劇画ヒットラーを読了しました。

感想とレビューを綴りたいと思います。

 

最初にことわっておきますが
私はヒットラーに関する知識はかなり薄い方です。

映画「シンドラーのリスト」を観たり
手塚治虫のアドルフに告ぐを読んだことがある程度です。

 

ですから、学者による検証に基づいた
ヒットラーの人物像についてはほとんど
知らないといっても過言ではありません。

 

劇画ヒットラーは漫画なので読みやすそう
という単純な動機と、水木先生がわざわざ
作品として取り上げていることに興味を
覚えて読むことにしました。

 

また、決して、史実として読んではいません。

 

驚くべきは水木先生の画力

ヤバイです。

いちいち一コマ一コマ手をかけすぎです。

 

水木先生が幼少の頃から画家志望で
あったことは知っていましたが
細部へのこだわりにも驚くべきものがあります。

 

読者へのサービスなのかご自身の自負に
よるものなのかは分かりません。

しかし、戦慄を覚えるほど、鳥肌が
立つほどの感動を覚えました。

 

もちろん、長年の水木しげるファンならば

「なにをいまさら」

と一笑に付してしまうことでしょう。

 

しかし、私のような水木しげるビギナー
にとっては感動の連続でした。

 

ヒットラーをはじめ登場人物は
コミカルに描かれています。

 

しかし、背景となる街や群衆の画が
それ単体で画として成立しているんです。

 

一体、ひとつのコマの画を仕上げるのに
どれぐらいの時間をかけたのかと想像
すると気が遠くなってしまいます。

 

後世に残る作品というのは、
その当時において十二分に手塩にかけて
丹念に生み出されたことを実感します。

 

かつて、映画監督北野武が自身の映画
へのこだわりとして

「どの場面を切り取っても一枚の写真作品となるようの心がけている」

と語ったことを思い出しました。

こだわりがあってこそのプロフェッショナルですね。

 

ちなみに、私が最も印象に残ったのは
「ワルシャワ入城」の1コマです。

あなたも、ぜひご自身の眼で確かめ鑑賞してほしいと思います。

 

ストーリーの感想

まだ、一読しかしていませんが
ヒットラーの行動はわりとバクチ的
な要素が強かったことが分かりました。

天才的な頭脳とひらめきで
用意周到に策をめぐらしていたのか
と思いきや失敗の連続です。

 

逮捕されたり逃亡したりと
大衆を扇動してエスカレーター式に
権力の座へと駆け昇っていった訳では
ありませんでした。

 

また、人間ヒットラーとしての一面も
描かれていました。

特に印象に残ったのが姪との関係です。

 

溺愛するあまり周囲に男を寄せ付けず
ほぼ幽閉のような状況にあった
姪のゲリの自殺に際しては
ヒットラーも憔悴しきっていました。

 

極悪人も自分の身内には甘いですが
ヒットラーもその一人に過ぎませんね。

まあ、ゲリが自殺を選んだのもお前のせいだろ!
としか言いようがありませんが。

 

ヒットラーのスピーチ力

ヒットラーは言葉を操る能力に長けていた
ことは私が言うまでもありませんね。

本作品でも、その一端が紹介されています。

 

スピーチの中で二者択一論法が繰り返し
利用されていたことも印象的です。

・生か死か

・敵の勝利か?我々の勝利か?

自分が導きたい方へと誘導するのに
効果的な論法ですね。

 

そりゃ、その二択ならこっちを選ばざるを
得ないだろという選択肢に絞ってきます。

 

扇動され高揚感に浮足立つと

(なんで勝手に二択を迫られているんだろ?)

と冷静な疑問を差し挟む余地を失ってしまいます。

 

このような大衆扇動テクニックをどこで習得したのか?

 

どこまでも、ヒットラー個人から生み出されたものなのか?

 

今後、調べていきたい課題です。

 

個人的評価

劇画ヒットラーの個人的評価としては
十分に満足できました。

 

私の知識不足ということもありますが
水木しげる先生のプロとしての矜持にも触れ
ヒットラーという人物を知る手立てを得る
ことができたのは幸いでした。

 

そして、やはり漫画には漫画の強みがあります。

 

だいたい、活字を読んでいて外国人の
人物名が複数出てくると誰がどの役割を
担っているのか理解できなくなるんですよね。

 

ヒムラーだのゲーリングだの馴染みのない
人物名がズラズラ出てきた日には私の脳の
許容量ではとても追いつきません。

 

その点、やはり漫画で描かれていると
記憶にも残りやすくビジュアルの
助けもあってきちんと整理できます。

 

映像でもよさそうなのですが
これもよほど特徴を分けてくれないと
なかなか記憶しづらいというのが
正直なところです。

 

軍服を着ている西洋人の見分けはなかなか難しいです。

 

ちなみに、劇画ヒットラーは電子書籍で読みました。

→購入サイトはこちらで確認できます

 

値段が安かったのもあるのですが
部屋にこれ以上ものを増やしたくないのと
中古本などは消毒したと書いてあっても
やはり色々気になってしまうので。

 

届くまで待たなくていいのも
プラス評価ですね。